中学1年生にして世界ジュニア選手権(18歳以下)や全日本卓球選手権大会等で数々の快進撃を続ける注目の卓球選手、張本智和(はりもとともかず)選手の卓球にかける想いや姿勢、将来の夢について語って頂きました。

普通の生活をしているだけでは、普通の人生しか送れない。

「中学から上京してから生活環境がガラリと変わり、NTCでは4人部屋で共同生活をされていますが、慣れてきましたか。」

「小さい時から合宿など経験してきたので、あまり違和感はありません。朝起きるのは少し苦手で寝坊(ねぼう)したり大変ですが、一番年少なので先輩を起こしたり、練習の準備をしたり自立するよう頑張っています。」

「睡眠時間は今どのくらいですか?」

「8時間くらいです。午後11時くらいには寝て、午前7時には起きます。」

「毎日ハードな練習が続きますが、疲労は残りませんか?」

「練習後にストレッチ10~15分しっかりやって、夕飯を食べて、お風呂に入ればもう大丈夫です。」

「中学生になると、勉強もテストなども大変ですね。」

「9教科に増えたので結構大変ですが、練習後の夜に宿題をしていて、テスト前は勉強時間を延長したり、NTCで学習会もありますので、限られた時間の中で集中して勉学にはげんでいます。」

「何事にもその集中力を発揮(はっき)してやり遂げられていますね。いつから身についたのでしょうか?」

「やっぱり、小さいころから集中して勉強をするようにしてきたからですね。」

「他の中学生とは全く違う時間を送っていて、卓球をしている事で犠牲(ぎせい)にする事もあると思いますが、卓球をしているからこそ得られるものはありますよね?」

「普通の生活をしているだけでは普通の人生しか送れません。何か得意なことがあって、それを伸ばすことができれば将来に役立つと思っています。小学6年生の時、親に『卓球をやるなら強くなって最後までやり切りなさい。そうでなければやらなくても良い。』と言われ、その言葉通りに頑張っています。」

「試合中もすごい集中して挑まれる中で、どんな事を考えながらやっているのですか?」

「次のボールをどうやって打つかとか…大体何も考えていません。ベンチでアドバイスされた事をやったり。まわりの声は聞こえないくらい集中しています。」

どんなに劣勢になっても、絶対にあきらめない!

「試合でポイントを取られ続けて劣勢(れっせい)になってしまった場合、気持ちが折れてしまう事はありますか?」

「ありません。一球一球しっかり取って行こうと思って集中してやっています。」

「これだけは誰にも負けないところを教えてください。」

「絶対にあきらめない気持ちです。どんなに劣勢になっても、あきらめることはしません。」

「世界ジュニア選手権優勝で、達成感がありましたか?」

「注目を浴びて『すごい事をしたんだな』と実感して、優勝した後2日くらいはうれしい気持ちにひたりましたが、またすぐに試合があるので、そんなに安心してはいられません。
油断していると他の選手にすぐ抜かれてしまうので、気は抜けません。休みがあってもほとんど毎日練習しています。」

「世界でトップをめざすために、必要なことは何ですか?」

「卓球は体が大きい方が有利なので、まずはもっと体を大きくしたい。週2回ウェイトトレーニングがあり、中学生になってから始めましたが、少しパワーがついてきたように実感しています。卓球は下半身、体幹(たいかん)が必要なので、その強化も進めています。また、特にフォアハンドでもっと点を取れるようになっていきたいです。」

「海外遠征(えんせい)が多いと思いますが、海外の食事で困ったことはありましたか?」

「今回の世界ジュニア開催の南アフリカとか、たまにあまり美味しくないところもあるんですが、頑張って、食べられたら食べて、どうしてもダメだったら日本から持って行ったインスタント食品などを食べていました。ヨーロッパでの食事は大体美味しかったです。スウェーデンやドイツの食事はとても美味しかったです。なるべく、現地のものを食べるようにしています。」

「卓球はものすごくエネルギーを使う競技だから、現地で食べられる物がないと困りますよね。その場合を考えて、自分で食べられるものを用意していくことは素晴らしいですね。」

「朝練をこなしてから登校をするということですが、朝食はきちんととれていますか?」

「朝練後はすごくお腹が空くので、NTCにきてからごはん2杯、たまに3杯食べます。納豆と一緒に食べると食欲がわきます。」

「ごはんをしっかり食べるのはとてもいいことですね。肉や野菜も大事ですが、主食のごはんはしっかり食べないとね。たとえば、今日の張本選手の練習は休憩なしで約2時間半ですが、その間に消費されるエネルギーは、体重から計算すると約350kcal/時間。1時間でインスタント麺(めん)だと1袋、おにぎりで約2個分くらいで、練習時間分食べるとその2.5倍必要です。普通の中学生が食べる量では、全然足りません。背は伸びても体をしっかり大きくしたいのであれば、主菜だけでなく主食のごはんもしっかり食べないとバランスがくずれてしまうので、トレーニングをした後に運動で消費されたエネルギーよりも多く、そしてすぐに食べる必要がある事を覚えておいてくださいね。」

「試合中のエネルギー補給には、何をとっていますか?」

「エネルギーゼリーやバナナを摂っています。食べたらやはりバテないと感じます。」

「試合時間が読めないので、長引くと途中でエネルギー補給が必要ですね。」

ひさこ先生の栄養アドバイス

『運動時のエネルギー補給の大事さ』
☆最近は“低炭水化物”も言われていますが、少なくとも成長期では、炭水化物はたんぱく質と同じくらいとても重要な栄養素です。
炭水化物は、体を動かすときや脳を使うときのエネルギーとして、なくてはならないものです。そのためには主食をしっかり食べたり、試合時間が長くなったりするときには、張本選手のように、途中でエネルギーゼリーやバナナなどでエネルギーを補給することが大事です。
みなさんも試合や大会がある時には、エネルギー切れにならないようしっかり食事をして出かけたり、分けて食べられる小さめのおにぎりを持っていったりと、エネルギー補給のための準備をすることで練習効果が上がることにもつながります。

2020年東京オリンピックで、個人、団体で金メダルを2つとりたい!

「今後はジュニアから一般の部でも強豪(きょうごう)選手を相手に闘っていく事になりますが、自信はありますか?」

「世界ジュニアに優勝したことで、チャンスは十分にあると思います。去年以上に国内外の大会でいい成績を残せれば、目標に近づけるくらいもっと強くなれると思います。」

「静かに熱い意気込みを語る張本選手の、強い決意を感じました。目標にする選手はいますか?」

「中国のファン・ジェンドン/FanZhendong(樊振東)選手です。」

「外国の強豪選手と試合をするとき、恐れたり緊張したりしませんか?」

「最近は全然しません。どんな相手でも、絶対に勝ちたいという気持ちが強いからです。強い選手と試合をする事は楽しみです。」

「海外の選手と張本選手の違いは何かありますか?」

「パワーが全く違います。ヨーロッパの選手は何でも食べる感じです。パワーの差は今はしょうがないので他の技術面で勝負しますが、海外選手と対抗するために出来る限りパワーをつけたいと思っています。」

「卓球を普及(ふきゅう)していくために、どのようなアピールをしていきたいですか?」

「自分が結果を出せば『卓球をしたい』と思う人が増えると思いますので、自分がもっと頑張って広めていきたいです。」

「2020年東京オリンピックに向けての意気込みをどうぞ!」

「あと3年で代表が決まるので、頑張って出場して、金メダルを2つ(個人、団体)獲得したいです。」

※樊振東選手(中国) 世界ランキング:2位(2017年1月時点)

取材日:2016年12月16日

選手&チームのご紹介

張本智和(はりもとともかず)選手

2003年6月27日、仙台市生まれ、13才。 169センチ、56キロ(2016年12月時点)。
家族は元選手でコーチの父・宇さん(45)、1995年天津・世界選手権の中国代表の母・凌さん(42)と小学生部門で優勝している妹・美和ちゃん(小2) 。
JOCエリートアカデミ-所属。スポンサーはラケットメーカーのバタフライ。世代別全日本選手権6連覇。2015年10月ワールドツアー(WT)本戦に史上最年少出場を果たした卓球界期待のジュニア選手。平成28年度全国中学校大会男子シングルス 優勝。 2016年12月世界ジュニアケープタウン大会男子団体 優勝。男子シングルス史上最年少で 優勝。男子ダブルス 準優勝。勝利のポーズ“ハリバウアー”で話題に。

編集部より

エリートアカデミーに入ってから好きになったという「継続は力なり」という言葉。
世界ジュニア大会で個人優勝した事で注目を浴び、取材が殺到して練習時間に影響が出てしまうほど環境の変化がある中、浮かれる事なく普段通り熱心に練習を続ける張本選手を表す、納得の言葉でした。世界のトップをめざしてひたすら練習にはげむ張本選手を応援しています。

今回は、食とスポーツをつなぐ情報誌『スポーティーライフ』とのコラボ・インタビュー記事となっております。
当サイトと同様に主にスポーツ栄養を中心に情報発信されている『スポーティライフ』冬号(1月31日発売)でも張本選手のインタビューを紹介しています。ご興味のある方は、『スポーティライフ』HP(http://sportylife.jp/)でご確認下さい。

アスリート・指導者・保護者のための「食とスポーツをつなぐ情報誌」
『スポーティーライフ』では、トップアスリートに対して行われている、スポーツ栄養学に則った「栄養摂取(食事・サプリメント)」の情報をわかりやすく紹介しています。
巻頭インタビューでは、トップアスリート等の食に対する意識、考え方などについて紹介しています。

【お知らせ】
スポーツ栄養情報誌「スポーティーライフ(SportyLife)」 2017年冬号(1月31日発刊)は特集2本立て!
★競技別栄養シリーズ① 野球 野球で活躍するための食・栄養 BaseBall Nutrition
★広島東洋カープの25年ぶりリーグ制覇で盛り上がる広島県をクローズアップ スポーティーライフ全県めぐり 第2回 広島県

川崎市スポーツ協会×スポーティーライフ
第3回スポーツ食育教室
日時:2月18日(土) 10時~16時
場所:川崎市商工会議所
川崎市が進める「パラムーブメント」に合わせて、ご当地アスリート・成田真由美さんの講演、ご当地企業・味の素のスポーツ栄養分野の取り組むを紹介いたします。午後は、スポティーライフ2017年冬号特集と連動し、野球栄養とケガ予防に関してスペシャリストが講演します。
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